今の状況は、王会長の監督最終年に似ている。
監督自身が作ってきたベテラン勢が衰えてきたときに、選手の新陳代謝がうまくいかなくなり、優勝争いから離脱することで選手のモチベーションも下がる。
旬な若い投手を中継ぎで酷使する傾向があり、そのような選手を単年で活躍させて、先行逃げ切りのチームを作ってきた。
フロントは、素材型選手の獲得を中心とするドラフト戦略を立て、監督がその選手が伸びてきたところで一気にブレイクさせて試合に使っていくという形になったが、特に投手は長期間活躍できる選手を生み出せず、選手層の厚みを作れなかった感がある。
打者の方では、キューバ選手の補強で厚みを作り得点力を上げてきたが、今年はケガやオリンピック関連のスケジュールなどで、その補強戦略を活用することができないまま、打線の低調を招いてしまった。
キューバ助っ人の活躍の裏で、日本人野手の育成が滞ったことの弊害が、ここ数年間で明らかだったのに、なかなか改善が進まなかった。
一方で、過去の6年間で、3度の優勝。その他は全て2位。
日本一は5回達成と、実績面では非のうちどころがない。
相手チームの研究に時間を割き、攻める時は攻める、守るときは守るというメリハリがあった。
それが顕著に出ているのは短期決戦の強さ。
ポストシーズンは16連勝中の状況であり、工藤監督の目指した先行に逃げ切りのチーム作りが、最高の結果をもたらすことになった。
ホークスでの7年間の実績を考えると、監督交代がベストの答えではないのかもしれない。ただ、何かを変えていかないと、このままズルズルと低迷するチームになりそうな状況である。
次の監督は、チームのことを熟知している秋山氏がベストだと思う。
秋山氏に打者を中心とした再建をお願いしたい。
小久保ヘッドは、担当事業の結果がでなかった役員のような状況だ。チーム内での実績を積み上げたからの監督挑戦で良いのではないか。
最後に、工藤監督には、7年間という長い間の活躍にお礼を言いたい。礼儀正しく、まっすぐにチーム力向上に取り組んだすばらしい監督だったと思います。